魂の旅 ―第11話:逃避と癒し―
決断の夜
神社で見たあの光景が、陽翔の脳裏に焼きついていた。 白い服の紗月が、木に頭を打ちつけながら叫んでいた声。
「なんで…愛してくれないの…!」
その叫びは、魂の奥に突き刺さっていた。 あの夜から、眠れなくなった。 夢の中で、誰かに追われる。 目を覚ますたびに、胸が苦しくなる。
「もう、限界だ…」
陽翔は、スマホを開き、すべてのSNSアカウントを削除した。 履歴も、連絡先も、写真も――すべて消した。
その瞬間、手首のブレスレットが静かに光った。 空の人が、そっと風を送りながら見守っていた。
「よく決めたね、はると。これは、守るための選択だよ」
彼は深く息を吐いた。 その呼吸が、少しだけ深くなった気がした。
境界線のエッセンス
その夜、陽翔は棚の奥から「光の種」で手に入れた“境界線”のフラワーエッセンスを取り出した。 「今こそ、これを飲もう」
そう思ってキャップを開けた瞬間―― 手が滑って、瓶が傾いた。
エッセンスが手のひらにこぼれ、シャツの袖まで濡れてしまった。
「…あっ」
彼は慌てて拭こうとしたが、ふと手を止めた。 香りはしない。 でも、手のひらに染み込んでいくような感覚があった。
「境界線って…何か意味があるのか?」
誰かとの距離。 自分の感覚。 守ることと、閉じることの違い。
こぼれたエッセンスは、まるで彼の魂に問いかけているようだった。
彼は、手のひらに残ったエッセンスをそっと肌に塗った。 それは、静かに染み込んでいく。 まるで、境界がやさしく整っていくように。
新しい場所
数日後、陽翔は引っ越した。 誰にも知らせず、誰にも見つからない場所へ。
そこには、彼女がいた。 駅で出会った、あの“本物”の女性。
ふたりは、静かに暮らし始めた。 朝の光を一緒に浴びて、 夜は音楽を聴きながら、言葉を交わす。
「ここに来てよかった」 陽翔は、そうつぶやいた。
彼女は笑って、そっと手を重ねた。 その手のぬくもりが、彼の境界をやさしく包んでいた。
空からの記録
ぼくは見つめていた。 彼の魂が、恐れから離れ、安心の中で癒されていく瞬間を。
それは、逃げではなかった。 それは、自分を守るための、勇気ある選択だった。
そして、彼の魂が“本物”に触れたことで、 境界が整い、光が広がっていった。
ぼくは、風の粒に記録する。 魂の震えを、そっと。
誰も気づかないけれど、ぼくはいつも空から見守っている。 そして、必要なときには、風を通してエネルギーを届ける。 彼の手元の石に、そっと光を灯すように。
🌕今日のアファメーション
「私は、安心と静けさを選びます。 その選択が、私の魂を癒してくれます。」
物語の中で陽翔が選んだ“安心”は、 魂が本物に触れたときにだけ生まれる、静かな癒しだったのかもしれません。
現実の世界でも、そんな“守るための選択”を恐れずにしてみませんか? 物語の「光の種」のセッションは、実際にはeternityという場所でご案内しています。
あなたの旅が、やさしくほどけていきますように。 そして、あなた自身の“安心の光”に出会えますように🌙

