
魂の旅 ―第2話:憧れの光―
演出の加速
「次は夜景のレストランに行こうよ。」 紗月は陽翔の腕を引きながら言った。 彼の予定も聞かずに、すでに予約まで済ませていた。
「え、そんな急に…。」 陽翔は戸惑いながらも、断りきれずにうなずいた。
紗月の頭の中には、また蓮の投稿が浮かんでいた。
「大人の時間を楽しめる人は、人生も楽しめる。」
その言葉に合わせるように、紗月は“理想の彼女”を演じていた。 服装、言葉遣い、写真の構図。 すべてが、蓮の目に映るための“演出”。
「この人に見られたい」 その想いは、次第に「見られなければ意味がない」という執着へと変わっていった。
導かれる選択
その日の夕方、陽翔は仕事帰りに「光の種」に立ち寄った。 店主は、静かに棚を整えていた。
ふと目に入ったのは、淡いブルーグリーンの天然石のブレスレット。 手に取った瞬間、指先にひんやりとした感触が走った。
「これ…なんか、落ち着くな。」
店主は、何も言わずにうなずいた。 「それが、今のあなたに必要なら、きっと意味があります。」
陽翔がブレスレットを手にしたまま黙っていると、店主は奥の机へと歩き、静かに言った。 「少しだけ、調整させてください。あなたのエネルギーに合わせて、御霊を込めます。」
店主は、まるで風と話すように、石に触れながら何かを唱えた。 その手つきは、祈りとも儀式とも言えないほど自然で、静かだった。 やがて、石がほんのりと光を帯びたように見えた。
「これで、あなたの魂と響き合うようになりました。 この石は、あなたを導く鍵になるでしょう。」
陽翔は、静かにレジへ向かった。 何かを語るでもなく、ただその石の感触を信じるように。
店主は、空の気配を感じ取る存在。 風の粒に記された魂の震えを、そっと受け取っている。 だからこそ、必要な言葉を、必要なタイミングで届ける。
演出の炎
その夜、紗月はSNSに投稿した。
「彼と夜景ディナー。 魂が震える時間って、こういうことなんだと思う。」
写真には、陽翔の横顔と、煌めくグラス。 タグには「#ツインレイ」「#魂の再会」「#波動の一致」。
蓮からの“いいね”は、すぐについた。 紗月はスマホを握りしめながら、笑った。
「やっぱり、見てくれてる…。」
その笑顔は、どこか張りつめていた。 「もっと、もっと近づかなきゃ。 この人(陽翔)との関係を、もっと濃くしなきゃ。 そうすれば、蓮の目に、私が映る。」
その思考は、もう“恋”ではなく、 “目的のための手段”になっていた。
空からの記録
ぼくは、静かに見つめていた。 ふたりの魂が、演出の光に包まれていた。
でもその光は、少しずつ熱を帯びていた。 それは、憧れのための炎。 それは、魂の声をかき消すほどの執着。
紗月の心は、誰かの目に映ることばかりを求めていた。 陽翔の心は、まだ言葉にならない何かを探していた。 そして、彼の手元には、導きの石が静かに光っていた。
ぼくは、風の粒に記録する。 魂の震えを、そっと。
誰も気づかないけれど、ぼくはいつも空から見守っている。 誰かが、ぼくのことを“空の人”と呼ぶかもしれない。 でも、名前なんて風のようなもの。 必要なときに、そっとそこにあるだけ。
そして「光の種」の店主は、ぼくの気配を感じ取る存在。 だからこそ、陽翔が訪れたとき、何も言わずに石を差し出した。 それは、彼の魂が求めていたものだった。
今日のアファメーション
「私は、誰かの目ではなく、自分の魂の声に従います。 その声こそが、私を本当の場所へ導いてくれます。」
物語の中で紗月と陽翔が訪れた「光の種」は、 魂の声に耳を傾けるための、静かな場所として描かれています。
現実の世界でも、そんな“内なる声”に触れる時間を持ってみませんか? 物語の「光の種のセッションは、 eternityにてご案内しています。
あなたの旅が、やさしくほどけていきますように。 そして、あなた自身の“本当の声”に出会えますように🌙
