魂の旅 ―第6話:信じ込みの始まり―

勝ち組の輪郭

紗月は、陽翔の横顔を見つめながら思った。

「この人、ちゃんとした会社に勤めてて、安定してて… そこそこイケメンで、優しくて、明るくて… 勝ち組って、こういう人のこと言うんだよね」

その瞬間、胸の奥で何かがはじけた。

「この人が、私のツインレイなんだ。」

紗月は、そう信じた。 蓮への憧れは、陽翔への執着にすり替わっていた。 “理想の人”を追いかける気持ちは、いつの間にか“この人こそが運命”という確信に変わっていた。

そして、以前「光の種」で選んだ“魅力を引き出す”瓶を見つめながら、紗月はそっとつぶやいた。

「もっと魅力的にならなきゃ。彼の隣にふさわしい私になるために。」

尽くしの加速

「最近、肌の調子がいいな。」 紗月は鏡を見ながら微笑んだ。

陽翔と会うたびに、気分が軽くなり、元気になる。 まるで、彼からエネルギーをもらっているような感覚。

「やっぱり、彼といると波動が上がる」

紗月は、さらに尽くし始めた。 差し入れ、プレゼント、予定の提案。 彼の好きなものを調べ、彼の言葉をメモする。

「もっと、もっと彼に尽くさなきゃ。 もっと、彼の“特別”にならなきゃ。」

その想いは、彼女の中で静かに膨らんでいった。 でもその膨らみは、どこか張りつめた風船のようだった。

消耗の始まり

陽翔は、最近体調が優れなかった。 紗月と会った日の夜は、決まって眠れず、頭が重くなる。 胸の奥がざわつき、呼吸が浅くなる。

「なんでだろう…会うたびに、体が重くなる。」

彼は、誰にも言えずにいた。 紗月の笑顔が、どこか“吸い取るような”光を放っている気がした。

そして、手首のブレスレットが、かすかに冷たくなった。 まるで、彼の魂が静かに警告を発しているように。

光の種の静けさ

その週末、陽翔は「光の種」を訪れていた。 店内に足を踏み入れると、ふわりと広がる香りと、静かな音楽。 それだけで、胸の奥がすっと軽くなる。

「やっぱり…ここに来ると、気分が楽になるな」 陽翔は、棚の天然石を眺めながら、ぽつりとつぶやいた。

彼は、もともとフラワーエッセンスを愛用していた。 仕事のストレスや人間関係に疲れたとき、ここで選んだエッセンスが、いつも心を整えてくれた。

店主が奥から現れ、静かに言った。 「今日は、境界線のエッセンスをおすすめします。」

棚から差し出された小瓶には、“境界線”と書かれていた。 淡い紫色の光が、瓶の中で静かに揺れている。

「もしかしたら、すぐには効かないかもしれません。 でも、ちゃんと仕事を果たしてくれるエッセンスです。」

陽翔は瓶を手に取り、しばらく見つめた。 「境界線…か。今の俺に、必要かもしれないですね。」

店主は、そっとうなずいた。 「何かあったら、光の中にいるようにイメージするんだよ。 その光が、あなたを包んでくれるから。」

その言葉に、陽翔の胸がじんわりと温かくなった。 瓶の中の光が、ほんのりと優しく揺れていた。

空からの記録

ぼくは見つめていた。 彼女の魂が、信じ込みの光に包まれていた。 彼の魂が、静かに消耗していくのを。

それは、愛ではなかった。 それは、信じたいという欲望のかたまり。

でも、彼は少しずつ、自分を守る選択をし始めていた。 その手元には、境界線のエッセンス。 そして、空の光を思い描く力。

ぼくは、風の粒に記録する。 魂の震えを、そっと。

誰も気づかないけれど、ぼくはいつも空から見守っている。 そして、必要なときには、風を通してエネルギーを届ける。 彼の手元の石に、そっと光を灯すように。

「光の種」の店主は、その気配を感じ取る存在。 彼が陽翔に手渡した瓶は、ただのアイテムではない。 それは、彼の魂に問いかける“鍵”だった。

今日のアファメーション

「私は、信じたい気持ちの奥にある、本当の声を聞きます。 その声が、私を守ってくれます。」

物語の中で陽翔が感じた“違和感”と“選択”は、 魂が本当の自分を守ろうとするときに起こる、静かなサインだったのかもしれません。

現実の世界でも、そんな“内なる声”に触れる時間を持ってみませんか? 物語の「光の種」のセッションは、実際にはeternityという場所でご案内しています。

あなたの旅が、やさしくほどけていきますように。 そして、あなた自身の“守ってくれる光”に出会えますように🌙

eternity